貴子さん(32歳)は
ホストクラブ通いがやめられなくなっていました。
その理由は
「お店にいると、お姫様になれるから」
ホストの人たちはお客様である貴子さんに
優しく話しかけ、飲み物を作ってくれます。
お姫様のように大切にしてもらっている感覚が
たまらないのです。
小さいころから親の言うことをよく聞いて
親の望むとおりに生きてきた貴子さん。
最初の挫折は恋人に振られたことでした。
「何がいけなかったの?あなたの言うようにしてきたのに」
その返事は
「君には〝自分〟がないんだよ」
それからです。
何をやってもうまくいかなくなったのは。
会社で頑張っても成績が上がらない。
誰も評価してくれない。
だんだん会社に行くのが辛くなって、
休みがちになりました。
両親は会社に行かない貴子さんを責めます。
無理矢理行った会社からまっすぐ帰る気になれず、
同僚と冷やかし半分でホストクラブに
足を踏み入れてから、その夢のような
甘い世界のとりこになってしまったのです。
「ひとりでいると寂しくて、なんだか心が凍ってしまう
感じがするんです。でも、ホストクラブに行けば、
イケメンの人たちが、
どうしたの~。貴子ちゃん元気ないじゃん
って慰めてくれるの。
一晩だけってわかっているし、金額も安くないけど
お金で買える幸せってあるかも、って思って・・・・」
と話す貴子さんですが、
帰りの電車が何より惨めだと言います。
ホストクラブに行くと、結局閉店まで残っていて
始発の電車で家に帰ります。
電車の中でまぶしい朝の太陽を見ると、
まるで、シンデレラの馬車がかぼちゃに戻っていくような
気持ちになり、
またやってしまったと後悔するのです。
そして、さらに困ったことに、
この惨めな気持ちを誰かにわかってもらいたくて
パチンコ通いまでするようになりました。
別にパチンコをしたくて通うのではありません。
近所のパチンコ店には常連さんがいて、
パチンコの台に座りながら彼らとたわいもない
おしゃべりをすることで、貴子さんは安心するのです。
貴子さんがはまっているホストクラブも、
パチンコ店で誰かとおしゃべりするのも、
実は根っこは同じ
誰かとつながっていたいという
「関係依存」
です。
ホストクラブの男の子と仲良くなっても
所詮は仕事上の付き合い。
ホストクラブという架空の世界で架空の
人間関係しか築けません。
パチンコ店の常連もしかりで、
どこに住んでいるのか、何をしている人なのか、
お互いのインフォメーションを隠して、
パチンコ店という場所で繋がっているだけの
不確かな関係です。
貴子さんがきちんとした人間関係を
作れないのには理由がありました。
それは彼女の生い立ちです。
次回へ続く。
今日も最後までお読みいただいてありがとうございます。
今日一日があなたにとって
素敵な一日になりますように。